【独学で社労士!】労働基準法を徹底解説!その2

社労士試験
  • 試験に出やすいポイントを含めて、労働基準法を徹底解説します!
  • 間違えやすいポイントも交えて、備忘録的に解説していきます。

前回は、労働基準法がどういう法律なのか、また、絶対にやってはいけないことは何かということをまとめていきました。
今回は、具体的な労働基準法上の制限についてまとめていきます。

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労働契約について

雇初めのとき

まず、事業者は、労働者を雇い始めるとき、労働条件について明示しなければなりません。
ただ、ここにいう労働条件は、第1条や第2条に定める場合と異なり、限定的に解釈されています。

第1条や第2条では、労働条件は、職場における一切の待遇をいうと解釈されていますが、ここでの労働条件は限定的で、労働期間や更新基準、賃金や退職金など、具体的に法令上列挙されている事項です。

そして、労働者は、雇われ始めてから労働条件として提示された内容と異なることが分かった場合、労働契約を将来にわたって解除することができます。
この時、事業者が必ず労働条件として入れなければならないもの(絶対的記載事項)と、事業者が労働条件として入れる必要はないものの、入れた場合は解除の原因となりうるもの(相対的記載事項)の二種類があります。

例えば労働期間や賃金など、働くために必須のものは、絶対的記載事項とされていますが、退職手当や災害補償、休職についてなど、働くために必ずしも必須とは言えないが重要な事項は、相対的記載事項であるとされています。

解雇のとき

一方で、労働者を解雇するときには、特に条件などについて新たに明示する必要はありません。
しかしながら、突然解雇されると、路頭に迷ってしまい、労働者にとって大きな不利益となってしまいます。

したがって、使用者が労働者を解雇する場合は、30日以上前に予告するか、30日分の給料を支払わなければなりません。こうして、労働者の生活を保護しています。逆に労働者が辞める場合は、民法627条により2週間前までに申し入れすれば問題ありません。

ただ、初めから短い期間を定めて雇入れする場合、例えば日雇い労働者などは、30日前から予告することはできません。したがって、日雇い労働者や、2か月以内の期間を決めて使用される労働者には、この規定は適用されません。
しかしながら、そういった労働者が、結果として長期間労働するに至った場合、上記の規定を逃れるための潜脱行為となってしまいます。
なので、日雇いの人であれば1か月以上、2か月以内の期間を決めている人であれば2か月以上、連続して働いた場合、上記の規定が適用され、30日前の予告が義務付けられることになります。

ちなみに、「解雇」は、それ自体が労働者にとって不利益になるものです。
どんな理由で解雇されたのか、場合によっては今後の労働者の人生を大きく動かしかねません。なので、解雇に関する証明書を発行する場合は、労働者の希望しない事項は記載してはならないとされています。

このように、使用者に負担にならない範囲で、労働者を保護し、嫌がらせなどを受けないように定めが置かれているわけです。

賃金について

預金払いは例外

このように、労働者にとって日々労働をし、給与を受け取ることは、生活の基礎となるものです。
なので、使用者は必ず、労働者に対して月1回以上現金で給与を払わなければなりません。

ただ、多くの場合、手渡しは大変なので、給与は振込で支払いされるのが普通です。
これは、使用者と労働者の合意に基づくものです。合意がなければ、振込での支払いはできません。

労働者のみに支払う

また、労働者がたとえ給与債権を他者に譲渡していても、譲受人は、給与債権を使用者に対して行使することはできません。
このように、労働者が労働による対価である賃金を受け取ることは、非常に重要視されており、簡単には否定することができないものとされています。

とはいえ、労働者が子供の場合など、受け取るのが不適切な場合は多く存在します。親権者などの法定代理人に関しては、受け取ることができるとされており、そのように、労働者が守られることが確実である場合にのみ、これらの原則が否定されることになります。

労働時間

36協定がないと残業すらできない!

このように、労働者が労働をして給与を受け取ることは重要ですが、それと同じくらい大事なのが、ライフ・ワーク・バランスです。
高い賃金を受けながらも、過重労働を強いられ、身体を壊してしまっては、人間らしい生活はすることができません。

そこで、労働基準法は、一部の例外を除き、週に40時間、日に8時間以上の労働を禁止しています。また、6時間超だと45分、8時間超だと1時間、休憩時間を取らせることを強制しています。

ただ、この基準に従えば、いわゆる残業は、することができません。
そこで出てくるのが、労働基準法36条に基づく、いわゆる36協定です。労働者との合意により、これらの規定を超えて労働をしても、使用者は罰せられることがなくなります

罰せられないということは、労働者にとっては、上記の基準を超えて働く義務は負わないということになります。第36条はあくまで免罰規定なので、義務まで生じさせるものではありません。
なので、使用者は、個別に労働者との間で上記の規定を超える労働をするための契約を結ぶことで、労働者は時間外労働の義務を負うことになるというわけです。

ちなみに、36協定を結んだとしても、年間720時間以上、月100時間以上、2~6か月平均が80時間以上の時間外労働をしてはならず、時間外労働をしていいのは、1年間に6回までとされています。
上記の時間制限を受けない管理職であっても、これらの制限はすべての労働者に適用されるので注意が必要です。

裁量労働制

このように、労働基準法は、毎日8時間+α働きつつ、無理のない範囲での時間外労働をすることで残業代を受け取るという働き方を原則としています。

ただ、最近の働き方改革により、自由な働き方ができるように法改正が進んでいます。

例えば変形労働時間制と言って、単位期間内に各週各日の所定労働時間を就業規則によって特定するということが認められています。要はきちんと特定できる範囲で、使用者側がある程度自由に所定労働時間を定められるという制度です。
使用者においても、専門性が高い業務や企画業務に従事する場合において、労働時間を自ら定めることができます。ちなみにその場合でも、休憩時間や休暇については、通常通り労働基準法の適用を受けるので注意が必要です。

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