基発と発基?
過去問演習の解説は参照先を読む
前回まででは、社労士試験の勉強において、条文や判例の素読が重要という話をしてきました。
素読だけだとだんだん疲れてくるので、定期的に過去問演習を行い、具体的にどのように問題が出てくるかを確認することは極めて重要です。
この時、過去問の解説の中には、「その問題が法令などのどの部分を参照してでているか」という参照先が出てきます。
過去問演習をする際には、単に〇×を確認するだけではなく、できればその参照先を読みに行き、素読した内容・知識がきちんと身についているかを確認することが重要です。
基発も発基も通達・通知
この時、参照先として、基発や発基という言葉が出てきます。これらは、それぞれ、次のようなものの略称で、すべて、厚生労働が出している「通達・通知」を表しています。
- 基発:厚生労働省労働基準局発簡
- 基安発:厚生労働省労働基準局安全衛生部長発簡
- 基安化発:厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長発簡
- 基監発:厚生労働省労働基準局監督課長発簡
○○発というのは、「○○」の略称で表される部署の部門長を指しており、「発」は発簡の略です。
労働基準局には、各課と安全衛生部、安全衛生部に属する課が、それぞれ法令によって定められて設置されています。
それぞれの部長や課長が発簡している通達を示しているということです。
なお、発基は、「労働省事務次官から各都道府県労働局長宛の通達」を示しており、上記とは別の意味を表しています。
また、「基収」など、「○○収」というものもありますが、これは、質問に対する回答を示しています。
法的拘束力はない
ちなみに、通達・通知には、法的拘束力はありません。
というのも、法令の解釈は、原則として裁判所の専権行為であり、裁判所は法令の文言のみに従うとされており、通達や通知と異なる解釈を出すことができるからです。
ただ、裁判所は特定の法令の解釈について、それが論争の論点にならなければ基本的に解釈を世に出すことはできません。
争われることのないような論点や、争われると面倒となる可能性がある論点は、あらかじめ厚生労働省が解釈指針を出して、争いの種を生まないようにしているということです。
社労士においては、「厚生労働省はこのように解釈しているのでこのようにするべき」という判断をするべき場合も数多くあり、したがって、これらの通達・通知も試験の範囲に含まれるということです。
通達は体系化されていない
厚生労働省が鋭意作成中
このように、社労士試験では、法令・判例に加えて、このような通達が試験で出ることがあります。
あまりメジャーではない論点は、合格だけを考えればあまり覚える必要はありませんが、やはり、これらの通達も重要なものは一通り目を通しておくべきです。
そこで役に立つのが、厚生労働省が整理している、検索データベースです。
判例も含めて整理しており、非常に参考になります。
行ったり来たりがベスト
とはいえ、試験に出やすい論点だけを体系的に整理したデータベースはまだないのが現状です。
そこでお勧めの勉強法は、「条文素読→過去問演習→解説確認→参照元の通達の確認→条文の再確認」という流れです。
これにより、最初の条文素読が復習出来て、非常に効率的に勉強を進めることができます。
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