【独学で社労士!】労働基準法を徹底解説!その1

社労士試験
  • 試験に出やすいポイントを含めて、労働基準法を徹底解説します!
  • 間違えやすいポイントも交えて、備忘録的に解説していきます。
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概要

労働条件の最低基準を定める法律

労働基準法には、いわゆる目的規定がありませんが、労働基準法は、「労働者の生存権の保障を目的として、労働契約や賃金、労働時間、休日および年次有給休暇、災害補償、就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律」であるといわれています。

第1条では、労働条件は人たるに値する生活を営むための必要を満たすものでなければならないと定め、当事者はその向上に努めなければならないと定めています。

解釈論が多い

このような労働基準法は、労働に関する法律の基礎的な部分を定めた法律です。
したがって、時代の変化に応じられるように、少しだけあいまいな表現を用いて定められています。つまり、解釈論が残る余地が残るような定め方をしています。

例えば労働衛生安全法や労災保険法では、どのような場合に労働衛生や労働安全を保全するための措置を取らなければならないかや、どのような場合に保険金が支払われるべきか、かなり具体的に定められています。
なので、これらの法律と異なり、労働基準法では、条文に直接記載されていない事項がかなり問われることになります。

例えば、労働条件とは、職場における一切の待遇を言うとされ、人たるに値するというためには、生計を維持している標準家族の生活も含めて考えるべきであると考えられています。
このように、条文には書かれていない解釈論を問われることが多いので、注意が必要です。

  • 基本的な事項を定めている労働基準法では、解釈論を問われることも多いため、条文丸暗記だけでは解けない部分がある

絶対にやってはいけないこと

このようなあいまいな書き方をしつつも、労働基準法では、総則の部分で、絶対にやってはいけないことや絶対に守るべきことが書かれています。

それが、均等待遇男女同一賃金の原則強制労働の禁止中間搾取の排除公民権行使の保障です。

均等待遇

一つ目の均等待遇とは、労働者の国籍、信条(特定の宗教的または政治的信念を言う)、社会的身分を理由として、労働条件に関する差別的扱いをしてはならないというものです。

ここにいう国籍・信条・社会的身分については、限定列挙であるとされており、憲法14条の「人種・信条・性別・社会的身分・門地」とは異なるものであるとされています。
これらを理由に、労働条件に関して差別的扱いをしてはならないというのが、均等待遇ということです。

ここにいう労働条件には、解雇・災害補償・安全保障・寄宿舎等も含まれるとされていますが、「雇入れ」そのものを制約する趣旨ではないため、特定の国籍・信条・社会的身分を理由として、雇入れをしないことについては、この条文の定めるところではないということになります。
グローバル化が進んだ現代ではなかなか考えられないですが、日本語のネイティブスピーカーでないと難しい職種で、国籍を理由に書類選考で採用から外すということが、あらゆる時代において適切ではない行為だとまでは言い切れないというと、なんとなく想像がつくかもしれません。

男女同一賃金の原則

上記の均等待遇には、先述の通り、憲法14条に定める「性別」は含まれていません。
これは、この法律が定められた当時、性別を理由にある程度労働条件に変化が生じるのは仕方がないと考えられていたことに基づきます。
例えば「蟹工船」の小説に出てくるような世界観において、寄宿舎の用意ができないからと女性を男性と異なる労働環境に置くことは、不適切なことだとは考えられていなかったということです。

一方で、そんな時代にあっても、賃金の面において差別的取り扱いをすることは不適切だと考えられていました。
性別を理由に賃金に差をつけることは、一般論として勤続年数が短いという理由を介在させたとしても、法律上認められるべきではないと考えられてきたということです。

ちなみに、過去の試験問題では、就労規則などで差別的取り扱いがされていると違反が生じるかという問題が出ることがありますが、これはひっかけ問題で、差別的取り扱いをしている部分は、規則として無効になるので、実際に差別的取り扱いをしない限り違反にはならないというのが答えになります。

強制労働の禁止・中間搾取の排除

続く二つの規定は、今では考えられないことですが、読んで字のごとく、強制労働を禁止するというものと、他人の就業に介入して利益を得てはならないというものです。

強制労働は、特に労働基準法上厳に許されないものと考えられており、違反時には最も重い刑罰が科されるべきものとされています。
やや専門的な話ですが、刑法(暴行・脅迫・監禁罪)とは法条競合という関係にあり、より重い労働基準法違反のみが生じると考えられています。

公民権行使の保障

最後の公民権行使の保障は、こちらも、やや時代的なものを感じる規定です。
当時は選挙権が今以上に重要視されており、今ほど気軽なものではありませんでした。
だからこそ、労働を理由として選挙に行けないというのは、非常に問題のある状況であり、このような事態は絶対に生じさせてはいけないと、労働基準法上定められています。

その他にも、議員になったり、裁判の証人として出廷することも、公民権の行使に含まれるとされています(ほかには、労働委員会の委員、検察審査会、労働審判員、裁判員、選挙立会人が含まれる)。
そういう場合に、「そんなことより働け」と言うのは、許されないというのが、この規定の趣旨です。

ちなみに、その間労働はしていないので、無給にするのは問題ないとされており、また、就業規則に定めることも許されると考えられています(その部分が無効になるだけ)。

  • 労働基準法では、具体的な労働条件に関する規定に入る前に、絶対にやってはいけないことが5つ規定されている

労働条件に関する規定

続く規定では、労働条件に関して具体的に記載されています。
例えば、労働契約はどのようなものであるべきか?賃金はどのようにして定められるべきか?労働時間や休暇はどのような場合に取得できると定めるべきか?といった話です。

そういった具体的な部分は、次回以降にまとめていこうと思います!

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