【簿記1級合格への道】有価証券の解き方

簿記試験

こんにちは。ヒトツメです。
本試験まで3か月ほどとなり、いよいよ勉強に本腰が入ってきますが、今日から何回かに分けて、実際に問題を解くときの考え方を整理しながら、試験に向けての準備を進めていきたいと思います。
そこで今日は、ほかの論点と大きくかかわることがあまりない、有価証券の問題の解き方を考えていきたいと思います。

ちなみに、有価証券の問題に関しては、第156回簿記1級試験の会計学の第2問の試験が様々な論点を含んでおり、有用です。実際、出題の意図と中でも、「有価証券の期末評価について総合的理解を問う問題です。…これまで個々の分類については商業簿記や会計学で出題されてきましたが、今回は総合理解を問う形式で出題しました」と記載されています。

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保有目的の変更がないか確認する

ではさっそく、有価証券の問題の解き方を考えていきますが、まず最初に確認するべきは、保有目的の変更がないかどうかです。
有価証券の問題では、期首から期末にかけて、保有している有価証券に対する評価がどのように変更したかや、どのような効果をもたらしたかを考えることが多いです。しかしながら、途中で保有目的が変更されていると、単純に期首と期末を比べるだけでは問題が解けません。そこで、最初に保有目的が変更されているかどうかを確認します。

例えば、第156回簿記1級試験の会計学の第2問では、簿価2,660千円だった売買目的有価証券を、時か2,585千円となったタイミングでその他有価証券へと分類変更した場合で、且つ、期末時価が2,885千円となった場合の処理について問われています。こういった保有目的の変更について最初に処理を行います。
ただ、こういう場合でも恐れるに足りません。保有目的の変更は、有価証券の買い替えと同じような処理になると理解しておけば、そこまで難しくありません。上記の場合、目的変更のタイミングで、簿価2,660千円の売買目的有価証券を、2,585千円で売却し、同じタイミングで2,585千円のその他有価証券を購入し、それが期末に2,885千円となったと考えます。
なので仕訳は下記の通りとなります(なお、本問では全部純資産直入法を前提としています。).

<目的変更時>
その他有価証券
有価証券損益
2,585千円
75千円
売買目的有価証券
2,660千円
<決算時>
その他有価証券300千円その他有価証券評価差額300千円
※2,885千円と2,585千円の差額が、その他有価証券評価差額となり、その他有価証券に直入されます。

なお、その他有価証券からほかの保有目的に変更する場合は、変更後の保有目的の有価証券をはじめから持っていたものとして処理する必要があるので注意が必要です。

途中の一部売却や買い増しがないか確認する

ただ、保有目的を変更しなかった場合でも、単に期首と期末を比較するだけでは足りない場合があります。それが、期中の一部売却や買い増しの場合です。これらが行われると、期首の状態と一部売却や買い増しが行われ場合を比較し、一度処理をした後、さらに決算仕訳をする必要があります。
例えば、第156回簿記1級試験の会計学の第2問では、取得原価21,000千円の関連会社株式のうち3分の2に該当する部分を、17,500千円で売却し、それによって保有目的をその他有価証券に変更しています。最も、一部売却の場合だからと言って、全部売却の場合と変わりません。取得原価(=簿価)14,000千円の関連会社株式を17,500千円で売却し、7,000千円の関連会社株式をその他有価証券に保有目的を変更したと、分けて考えれば難しくありません。

<売却部分>
現金預金
17,500千円
関連会社株式
関連会社株式売却益
14,000千円
3,500千円
<目的変更部分>
その他有価証券7,000千円関連会社株式7,000千円

あとは問題文から期末の価格を割り出し、目的変更の部分についてその他有価証券として処理すればよいということになります。

期首(取得時)と期末の比較

あとは、それぞれの保有目的にしたがって、期首(期中取得なら取得時)と期末の比較を行いながら、処理をしていけばほぼ答えは出ます。
簡単に処理の仕方をまとめると次の通りです。

  • 売買目的有価証券の場合、いつでも売れるので時価評価を行い、差額は有価証券評価損益として処理をします。
  • 満期保有目的債券の場合、持ち続けることに価値があるので、原則として帳簿価格は取得原価のままです。ただし、券面額と発行価額との差額が金利調整分と認められる場合、問題文に従い、大抵は償却原価法によって処理していきます。
  • 関連会社株式の場合、これも持ち続けることに価値があるので、原則として帳簿価格は取得原価のままです。ただし、極端な下落が生じ、回復の見込みがない場合、帳簿価額を時価まで下げ、差額を関連会社株式評価損として処理します。
  • その他有価証券の場合、帳簿価額は時価となり、全部純資産直入法または部分純資産直入法によって、差額はその他有価証券評価差額として処理します。

金利調整差額については、次の記事で過去まとめています。

外貨建ての場合は

ちなみに、外貨建ての場合も、基本的な考え方は同じです。期首と期末と、それぞれのレートで評価を行い、処理していきます。ただ、満期保有目的債券の償却原価など、期首と期末の差額が外貨ベースで決まっており、それを期中平均レートで処理すると差額が出る場合、当該差額は為替差損益として処理する必要があります。
なお、外貨建て有価証券の考え方は次の記事でもまとめているので、参考にしてみてください。

さいごに

有価証券の問題は、冒頭でも記載した通り、ほかの項目との関連性が薄く、解ければ確実に点数が採れるところです。大なり小なり毎回何かしら問われているので、しっかりと問題の形式を理解し、確実に点数を取りたいところです。
ここに税効果会計も加わると少しだけややこしいですが、問題を解き続けることで自ずと理解できるようになってくると思います。

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