こんにちは。ヒトツメです。
今日は、少し前に話題になった、『失敗の科学』の書評をしつつ、常に成長し続けるためのマインド・メソッドについて考えていきたいと思います。
人間は失敗する生き物である
僕は、仕事をしているうえで、常に意識し続けていることの一つに、「人間は失敗する生き物である」というのがあります。自分も含めて、経理の時の計算ミスから、メールの打ち間違い、案件の抜け漏れなど、人間は毎日失敗と格闘しながら働いています。
なので、何をするにしても、間違えることを前提に業務を組み立てるようにしています。計算ミスがおきるようなExcelファイルは作らないし、案件の抜け漏れが起きにくいスケジュール管理をしたり、といった具合に、常に試行錯誤しながら、工夫をしていきます。
ただ、非常に厄介なことに、失敗に気付ける場合はいいのですが、どうしても失敗に気付けなかったり、あるいは失敗を認められなかったりということがよくあります。
この本に出てくるケースとしては、DNA鑑定の導入によって一度終身刑を下された受刑者への再審請求のケースです。一度有罪という判断を下すために尽力した検察官は、なかなかその判断を覆すことが出来ず、失敗を認められません。ましてや、難関の試験を潜り抜け、社会のために粉骨砕身で働いてきた自分の判断が、罪のない人を牢屋に入れるための活動だったなどと、簡単に信じることはできません。
この本は、人間が失敗するパターンを様々取り上げ、できる限り失敗を認識し、それを正すためにどういったマインドで取り組むべきかということが記載されています。
ハドソン川の奇跡は奇跡ではない?
その中の一つに、航空業界を例に挙げた、徹底した検証があります。航空業界では、基本的に失敗を報告したとしてもそれを咎める文化がなく、その原因を探るための仕組みができているとされています。
その一例として、この本の中には、先日取り上げた、「ハドソン川の奇跡」のお話も出てきます。
むしろハドソン川の奇跡のサレンバーガー機長は、過去の失敗から多くを学び、それによって人命を救った機長として取り上げられていますが、この本の中にも取り上げられているサレンバーガー機長のインタビューが非常に印象的です。
我々が身に付けたすべての航空知識、すべてのルール、すべての操作技術は、どこかで誰かが命を落としたために学ぶことができたものばかりです。(中略)これらの教訓を忘れて一から学び直すのは、人道的に許されることではないのです。
このような失敗の積み重ねの上に、この奇跡があると思うと、それはもはや奇跡ではなく、多くの人の努力の上に立つ必然的結果だったと考えるべきなのかもしれません。
失敗を活かすために
問題は、我々も、サレンバーガー機長のように、失敗から多くを学び、成長し続けるためにはどのようにすればいいか、という話です。
僕自身の経験も踏まえて、この本に記載されたメソッドをまとめると、次の3点に集約されると思います。
失敗自体は悪いことではない
1点目は、失敗自体を非難する姿勢を辞めることです。
失敗だけを責めていては、結局、人間は冒険しなくなります。そもそも失敗をしないようにしようと思えば、航空業界は飛行機を飛ばさないようにすれば、失敗はしなくなります(もちろん会社はつぶれてしまうと思いますが)。
むしろ、非難すべきは、失敗から学ばず、成長しないことです。まさしく、言うは易く行うは難しですが、失敗を恐れず果敢に挑戦したことを褒め称え、たとえ失敗してもそこから何かを学ぼうとするのであれば、それは評価するべきです。
また、早期に失敗だと気づかせるために、早期にフィードバックを与え、失敗から学ぶ姿勢を促す行動も重要だと考えられます。
簡単に犯人を決めない
1点目と通じるところがありますが、2点目は、簡単に犯人を決めないことです。
失敗したとき、犯人を決めてその人だけを非難するのは簡単です。ですが、そのような姿勢は、失敗の原因となったほかの人の行動や思想を修正する機械を奪います。関与した人たち全員の責任として、平等にその原因を保有していると思って、回顧を行うべきです。
自分は成長できると信じる
最後に、たとえ何度同じ失敗を繰り返したとしても、その失敗から学び続ける限り、成長できると信じることです。
成長できないという認識がある人は、なかなか成長できません。成長できると信じることこそが、失敗を大きな成長へと導きます。
さいごに
最後は少し抽象的な話になってしまいましたが、この本の副題、「失敗から学習する組織、学習できない組織」は非常に示唆に富んでいます。というのも、これらの実践をするためには、失敗に対してフィードバックを与えてくれる先輩や同僚、安易に犯人捜しをしようとしない上司の姿勢、成長できると信じ続ける部下のマインド、それぞれの役割が重要になります。
あくまで組織としての成長を念頭に置いているわけです。
- 失敗自体を咎めるのではなく、失敗から学ばないことを咎めるべき
- 簡単に犯人を決めつけず、失敗の原因を複合的な視点から検証する
- 一人ひとりが成長し続けられると信じる
→これらを、組織の各人の役割として根付かせる文化形成が重要
人間は、に置いているわけです。人間は、ひとりではなかなか成長することが出来ません。時に人の助けを借りながら、様々な経験を遂げないと、成長は難しいのかもしれません。
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