労災保険料は一律ではない
原則は業種別
一般に、保険というと、加入者の年齢や基礎疾患の状況に応じて保険料が変動します。
これは労災保険に限らず、世の中の生命保険などでも同様です。
もっとも、一律に適用を受けることとなる労災保険に関して、格別の詳細な状況を把握しながら保険料率を決めていくのはかなり手間です。
そこで、労災保険では、業種に合わせて保険料率の設定がされており、より危険性の高い業種の場合に労災保険料率が高くなるように設定されています。
例外的な調整
とはいえ、労災というものは、起きなければ起きないほどいいもの。
労災が起きないように努力している企業と、そういった努力をしていない企業と、それぞれの保険料率が同じで、同じように保険金に対する負担を強いるのは不公平です。
そこで、連続する3保険年度の労災保険の収支率が75%以下の場合に保険料率を下げる制度が、メリット制です。
保険料納付の金額に一定の比率(第一種調整率)をかけた数字に占める、保険給付の額が75%以下だと、翌々年度の保険料率が、最大で40%低下します。
こうやって毎年計算しなおし、85%以上だと再び上昇し、75%以下だと再び改定されます。
事業による差異
継続事業の場合
このようなメリット制は、継続事業か有期事業かで、制度が異なるので注意が必要です。
継続事業の場合、100人以上の労働者の使用しているか、20人以上100人未満の労働者を使用しており、労働者数に一定の係数をかけた数字が0.4以上でなければ適用を受けることはできません。
ちなみに、事業の一括が行われた場合、指定事業以外の事業は、保険関係が消滅するので、前述の収支率については、指定事業のみにおいて計算されるという点に注意が必要です。
有期事業の場合
これに対して、有期事業の場合、事業規模は関係なく、確定保険料が40万円以上であるか、建設事業の場合には請負金額が1億1,000万円以上、流木の伐採の事業にあっては素材の生産量が1,000立方メートル以上であることが要求されます。
なお、有期事業の場合、3保険年度続かないことも考えられることから、収支率の算定は、事業が終了した日から3か月を経過した日前において行うとされています。
有期事業の場合、確定保険料が改定されることにより、追加納付や還付が発生する場合があります。
追加納付に関しては30日以内に実施する必要があり、また、還付に関しては確定保険料の通知から10日以内に請求しなければならないため、この点も注意が必要です。
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