こんにちは。ヒトツメです。
今日は補助部門費の配賦に関する、相互配賦法の計算方法について、問題を解いているといつもわからなくなるのでまとめてみたいと思います。
他の配賦方法との違い
一般に、補助部門費の配賦の際には、相互配賦法以外にも、直接配賦法、階梯式配賦法といった配賦方法があります。配賦方法によって計算が異なってくるのは、複数の補助部門がある場合で、一つしか補助部門がない場合はあまり関係がありません。
これらは、いずれもわりと名前の通りの配賦方法で、直接配賦法はほかの補助部門への配賦は考慮せず、単純に製造部門での配賦割合に応じて配布するという方法です。階梯式配賦法は、補助部門に優先順位をつけ、徐々に肺腑する対象部門を減らしていきながら配賦していくという方法です。
覚えにくい相互配賦法
これらの配賦方法は、一度計算を覚えてしまえば、やっていることは比較的単純ですし、名前からも想像がつきやすいです。一方で、相互配賦法は、計算方法が意外と面倒で、覚えるのが大変なうえ、方法が二つあるので、さらに覚えるのが大変です。
簡便法
二つあるうち、より簡単な簡便法は、直接配賦法と階梯式配賦法の組み合わせのような方法です。
階梯式配賦法のように、ほかの補助部門も含めて一度配賦し、さらに補助部門に配賦された補助部門費を、直接法に従って製造部門にも配布するというやり方です。
例えば、補助部門Aの部門費が10,000円で、製造部門1・製造部門2・補助部門Bへの配賦基準が、それぞれ、2:2:1だとします。その上で、補助部門Bの部門費が12,000円で、門1・製造部門2・補助部門Aへの配賦基準が、それぞれ3:2:1だとします。
この場合、補助部門Aの部門費は、一度製造部門1・製造部門2・補助部門Bにそれぞれ4,000円・4,000円・2,000円配賦され、対して、補助部門Bの部門費は、一度製造部門1・製造部門2・補助部門Aにそれぞれ6,000円・4,000円・2,000円配賦されます。
このようにして一次的に配賦された補助部門Bへの2,000円と、補助部門Aへの1,000円は、製造部門へ直接法に基づいて配賦され、最終的な配賦金額が決まります。
合計 | 製造部門1 | 製造部門2 | 補助部門A | 補助部門B | |
部門費 | 22,000 | 10,000 | 12,000 | ||
第一次配賦 | |||||
補助部門A | 4,000円 | 4,000円 | 2,000円 | ||
補助部門B | 6,000円 | 4,000円 | 2,000円 | ||
第二次配賦 | |||||
補助部門A | 1,000円 | 1,000円 | |||
補助部門B | 1,200円 | 800円 |
連立方程式法
これに対して、連立方程式法は、より実態に近いといわれている一方で、計算もややこしく、覚えにくいです。この方式の一番覚えにくい最大の点は、実際部門費として一次的に集計された金額と、実際の配賦額合計が一致しないという点にあります。
もちろん、製造部門に配賦される合計金額は、補助部門における部門費の合計と一致します。ただ、相互に配賦されることから、理論上の単独の補助部門からの配賦額合計と、その部門の実際の部門費は一致しないという現象が起きます。これが分かりにくい最大のポイントです。
上の例でいえば、補助部門Aの部門費10,000円は、補助部門Bから全体の6分の1の配賦を受ける前の金額でしかなく、同じように、補助部門Bの部門費12,000円は、補助部門Aから全体の5分の1の配賦を受ける前の金額でしかありません。
したがって、実際の補助部門Aの配賦前の合計金額をα、補助部門Bの配賦前の合計金額をβとすると、次のような等式が成り立ちます。
- α=10,000円+(1/6)*β
- β=12,000円+(1/5)*α
この連立方程式を解くと、αは12,413.8円、βは14,482.8円となります。この金額を、上記の2:2:1や3:2:1の比率に応じて配賦すると、結果的に製造部門への配賦額が、部門費の合計と一致する、というわけです。
さいごに
原価計算の問題は、一度教科書を読んだうえで指示通りに解くと、かなりの大部分が解けるようにできていると思います。「この企業ではこういった基準を用いている」と明記されており、それに従うと比較的スムーズに解ける問題が多いです。
一方で、そもそもの考え方を知らないと解けない問題も多いので、そういった問題は、何故覚えにくいのかというポイントを押さえながら覚えていくと、本番でも点数がとれるように思います。
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