【独学で社労士!】併給調整について考える

社労士試験
  • 科目横断な知識が問われる併給の場合の処理について考えます
  • 基本的な考え方を抑えておくことで、丸暗記を避け、効率的に加点できるようになります
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併給とは何か?

年金間の調整

労災保険法及び国民年金法、厚生年金法では、障害などの場合において、年金による社会保険給付が予定されています。

これらの年金により、様々な問題に対して社会保険給付ができるわけですが、時に、2以上の年金を受けられる状態が発生し、受ける側にとって「もらいすぎ」な状態が生まれます。

併給調整とは、「この場合はもらい過ぎなので、片方を停止する」あるいは「この場合はもらい過ぎとは言えないので、両方もらえるようにする」といった対応をすることで、調整を図ろうとすることを言います。

加重の場合はまた別

よく似た制度で、労災保険法においては、同一の部位において障害の程度が重くなった場合における調整という制度があります。

このような場合は、「加重」といって、併給とは制度設計が異なります。

ここでは、労災保険法においては、同一の事由により複数の年金給付が発生する場合のみを併給として扱います。

なお、加重の場合は次のような調整がなされます。

  • 加重前後ともに年金の場合:加重前の年金額と加重後の年金額を差額支給
  • 加重前後ともに一時金の場合:加重前の一時金額と加重後の一時金額を差額支給
  • 加重前は一時金、加重後は年金の場合:加重前の一時金額の1/25と加重後の年金額を差額支給

併給調整の内容について

労災保険法の場合

労災保険法による給付の場合、同一の事由によって社会保険の年金給付が支給される場合、労災保険の方に、一定の調整率を乗じて支給します。

つまり、同一の事由で、障害等年金と障害厚生年金を受けることとなった場合、障害等年金に関して、「×0.83」がなされます。

これによって、「もらいすぎ」を防ぐという制度になっています。

中には、これによって、障害等年金単体の額よりも、調整後の併給の場合の方がもらえる金額が低下してしまう場合があります。

このような場合は、障害等年金の調整後の金額を、「障害等年金額ー障害厚生年金額」といった具合にすることで、調整後のもらえる金額を、障害等年金単体の額にするように調整が図られます。

また、「同一の事由」なので、老齢基礎年金や老齢厚生年金との併給調整は行われません。

社会保険の年金給付の場合

原則

一方で、社会保険の年金給付の場合は、様々な調整が図られるので注意が必要です。

まず、大原則として、国民年金保険法と厚生年金保険補の保険給付は、同一の事由による給付のみが認められています。

例えば老齢基礎年金と老齢厚生年金といった具合に、いわゆる2階建て構造による併給のみを認めるというのが原則です。

遺族厚生年金の例外

一つ目の例外として、遺族厚生年金の場合があげられます。

遺族厚生年金は、「遺族の老齢」という事象に対して支給されるものです。

これは、65歳以上の場合において、老齢基礎年金が支給されるのとは、別の事由ではあるものの、別の観点に基づくものです。

  • 老齢基礎年金:自らの老齢という事象に対して受け取ることができる年金
  • 遺族厚生年金:老齢な遺族の生活保障という目的で受け取ることができる年金

したがって、この二つの年金による2階建て構造は認められており、併給ができるとされています。

障害基礎年金の例外

また、障害基礎年金に関しては、「障害者の就労による貢献」ということに対する評価から、老齢厚生年金または遺族厚生年金による2階建て構造が認められています。

なお、この場合でも、65歳以上の者に限られるので注意が必要です。

併給出来ない場合の対応について

ちなみに、併給出来ない年金の支給要件が、同時に満たされた場合、すべての年金が支給停止になります。

これは、受給syが、片方の支給停止の解除を申請するという形で、どちらの年金を受給するか選択することができるための制度なので、注意が必要です。

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