残業は悪なのか?
残業が発生するメカニズム
そもそも残業とは、本来定められた業務時間を超えて業務を行うことを言います。
残業が常態化してくるということは、「業務量」と「業務時間×人員」に乖離があるということです。
その原因は、「業務量」と「業務の見込み量」に乖離があるか、そもそも「業務の見込み量」に達する程度に「業務時間×人員」が用意されていないか、どちらかです。
ただ、人員が全く集まらない職種でなければ、後者というのは考えにくく、おおむね前者により残業が発生するというケースが多いです。
問題は、なぜ前者のようなケースが発生するかです。
これには、日本人の生真面目さが影響しています。というのも、多くの場合、「〇人でこれくらいの成果を上げられる」という算段をつけて、それに人員数を掛けて生産性を図ろうとします。ただ、「サボる人・サボる時間」を計算に入れていません。
人は、周囲に業務従事者が多数いればいるほど、サボりやすくなります。このことを計算に入れずに業務の見込み量を計算するため、必要な人員を用意しても、業務が完了せずに残業が発生するわけです。
サボる=悪いことではない
ただ、サボるといっても、おしゃべりばかりしてサボっているばかりではないということには注意が必要です。
例えば自己の成長を期待して様々な手法を検証したり、余分に下調べをして次に活かせる様にしたり、有意義な時間の使い方をしているケースも多数あります。
特に若手のころは、日々の業務量の平準化が難しく、日によっては業務が過度に発生することもあります。
そういった日に残業を行い、他の時間に余裕があるときに自己の成長につながるような、経験につながる業務をしているというケースもあります。
必ずしも悪ではない
そうすると、残業すること自体を悪ととらえ、問題視するという傾向には、問題があるように思います。
残業=すべて悪というとらえ方をし、無理やり部下を帰らせるというのは、少々問題があります。
実際、それを理由に起業や転職を決意する若手も多いというアンケートもあり、「ホワイトすぎる企業」であることは、必ずしも正義ではないということが分かります。
正しい残業の姿とは?
残業の原因を探る
とはいえ、悪い残業が存在することもあります。
サービス残業と呼ばれるものはその典型で、適切な賃金が支払われていなかったり、あるいは連日連夜残業を重ねて、身体を壊してしまうケースは絶対に避けなければなりません。
重要なのは、今発生している残業の理由や原因をしっかりと探るべきです。
そのためには、残業をしている人が、「残業時間に何をしているか」ではなく、「日中時間も含めて何をしているか」を把握する必要があります。
過密な会議のスケジュールにより、タスクをこなす時間がなければ、会議の削減を行うべきですし、集中する時間を予定に事前に組み込ませるのも、一つの手です。
原因を探り、適切な手を打てば、問題ある残業のほとんどは減らすことができます。
充実したワーク・ライフ・バランス
そもそも、残業を減らすことを目的としていては、問題は解決しません。
あくまで、残業を減らすのは、ワーク・ライフ・バランスをよくするための一つの手段でしかありません。
残業が減った分、生活費を削って予備校に通い、職場で学べるはずのことを外で学びスキルアップをするというような事象が起きれば、本末転倒にもほどがあります。
適度な経験や勉強のために、多少の残業を行い、充実した生活を送るようにすることは、社会人にとって必要な要素です。
あくまでその点にしっかり目を向けて、部下の残業削減に向き合うべき、ということです。
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