相談してくれないとは?
経理や法務などのポジションで仕事をしていると、よくある悩みが、営業などのフロントが「相談してくれない」というものです。
事前に、「この案件に関しては進んだら相談してほしい」と言っていても、相談してもらえないことがよくあります。
そういう場合、ヘソを曲げたくなる気持ちをこらえて、経理や法務側がその尻拭いをするというのが大抵のパターンです。
そうやって聞くと、フロント側に問題があるように聞こえますが、なぜそのようなことが起きるのかを考えていくというのが今回の趣旨です。
コミュニケーションの違い
対話型コミュニケーションが不得意
このようなことが起きる原因は、コミュニケーションの方法の違いです。
内部管理のポジションにおいては、法令や規則によって、「何をするべきか」というのがたいていの場合決められています。
また、専門分野で長く仕事をすればするほど、問題の所在が明確になりやすく、ポイントとなる論点が、はじめの段階から俯瞰できるようになります。
一方で、営業などのフロントは、顧客との対話や合議の中で問題点を見つけ、解決していきます。
はじめから問題点がわかるというケースは希で、最初から俯瞰できることはありません。
リモートワークが不向きなのと同じ
従って、フロント側になればなるほど、同じ場所で膝を突き合わせて会議をすることを好みます。
問題点を全員で考え、どのように進めていくかを一歩ずつ確認しながら進めるというやり方を採るわけです。
したがって、表面的には外部の人との関わりが多く、あえて会社という場所に集まる必要はないはずの営業ほど、リモートワークに向きません。
問題解決の方法を考えるための場所が必要になります。
本当に必要な場面で居ないから
こうしてみると、問題の原因は明確です。
はじめから俯瞰で見えている人が「しかるべきタイミングで相談してくれ」と言っていたとしても、実際にその問題にぶち当たるべき時に言われなければ、問題は見過ごされて案件が進んでいくわけです。
その瞬間、問題を把握している人が問題解決のための会議に参加していなければ、問題は見過ごされてしまうということです。
GPが必要
昔はマネージャーの仕事
本来、このような場合に適切なタイミングで問題の発生を見極め、専門家に相談するという仕事は、中間管理職やマネージャーと呼ばれる人たちの仕事でした。
ただ、近年、問題が複雑化し、専門知識が必要とされる幅が広がることで、マネージャー職がそのような判断をすることが難しくなってきました。
一方で、すべての会議にすべての専門家を招集することは不可能です。
総合診療科がヒント
このような問題にいち早く取り組んでいるのが医療の現場です。
医療の現場では、総合診療科という、初期診察のみを専門とするセクションが存在します。
欧米では総合診療医(GP:General Practitioner)という専門医が存在しますが、フロント側に、そういったポジションの職種を用意し、総合的に問題点を把握する人を設置するというのが有効です。
もちろん、そういった職種も専門的且つ幅広い知識が要求されるため、非常に難易度が高いですが、「問題解決」は専門家に任せ、「問題発見」を効率的に行えるようにするといった棲み分けをすることで、負担を減らすことも可能です。
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