【独学で社労士!】スライド制について

社労士試験
  • 労災保険法と年金法に出てくるスライド制について解説します
  • スライド制のそもそもの制度趣旨に立ち返って考えていきます
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スライド制とは?

スライド制とは、過去の給与を基にして計算される保険給付が、一定の事由により高すぎたり低すぎたりする場合に、調整をするための制度です。

例えば労災保険法に基づく休業給付の場合、場合によっては1年近く前の給与額を基に保険給付額が算定されます。

ただ、その1年間の間に給与の額が大きく変動している場合も考えられ、その場合、給付額が著しく高かったり低かったりする場合が出てきてしまいます。

なので、給付される内容と時勢などを照らして、一定の条件を満たす場合に給付基礎日額や給付額を変動させるというのが、スライド制です。

労災保険法の場合

休業給付基礎日額のスライド

労災保険法の場合、スライド制が適用されるものは2つあり、1つ目が休業給付基礎日額です。

この場合、四半期ごとに、厚生労働省において作成する毎月勤労統計における労働者1人当たりの平均給与額を基礎として算定されます。

保険給付における、給付基礎日額の算定事由が発生した四半期の平均給与額と、特定の四半期の平均給与額を比較し、10%以上の乖離が生じている場合、その翌々四半期の初日から、給付基礎日額が変動します。

例えば、1月に算定事由が発生し、その後、7月から9月の平均給与額が、1月から3月の平均給与額より12%上昇していた場合、翌1月の初日から、給付基礎日額を12%上昇させて計算します。

これにより、世の中の給与額に合わせて休業給付を行います。

年金給付日額のスライド

2つ目は、年金給付基礎日額のスライドです。

年金たる保険給付や一時金たる保険給付に関して、支給すべき月の属する年度の前年度の平均給与額(4月から7月の場合は全前年度)と、算定事由発生日の属する年度の平均給与額を基準として、スライド率を算定します。

このスライド率を利用して、翌々年度の8月の基礎日額をスライドさせます。

年金給付日額に関しては、10%超の変動である必要はない点で注意が必要です。

年金法の場合

一方で、年金法の場合は、国民年金法・厚生年金法問わず、マクロ経済スライドという制度が導入されています。

これは、物価の伸び以上に、年金を維持していくために負担者の減少や平均余命の伸びの方が改定率への影響が大きく、年金額が抑えられてしまうため、それを調整するための制度です。

毎年4月からの年度において適用されることとなるもので、一括で行われる点に特徴があります。

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