前回は、労働者災害補償保険法の5つのパターンのうち、療養給付・休業給付・障害給付について解説しました。
今回は、残りの介護給付と遺族給付について解説します。
介護給付
介護給付は、読んで字のごとく、介護を受けるための給付です。
障害等年金や傷病等年金の受給者が2級以上の状態にある場合で、常時又は随時介護が必要な場合に、給付されるものです。
より具体的に言うと、障害等級・傷病等級が第1級の人(すべて)と第2級の「精神神経・胸腹部臓器の障
害」を有している人が、現に介護を受けている場合、介護補償給付(業務災害の場合)、複数事業労働者介護給付(複数業務要因災害の場合)または介護給付(通勤災害の場合)が支給される、というものです。
上限と下限が設定されていますが、そこまでややこしい論点はなく、あまり覚えることは多くありません。
遺族給付
業務により死亡した場合に支給される
最後に、遺族給付です。遺族給付は、業務上の事由や通勤により死亡した場合に、遺族に対して支払われるものです。
支給の方式は、年金若しくは一時金の方式です。
かなり細かな支給要件
ただ、支給要件がかなり細かく設定されています。
というのも、労災保険法は、労働の対価として受け取る賃金が、その人とその家族の「生活の基盤」となっている、ということを基礎としています。
なので、労働者の死亡によって、生計が維持できない可能性が高い場合にのみ、支給されます。
また、労災保険法はかなり古くからある法律なので、遺族が夫か妻かで、支給要件が異なります。
具体的には、妻の場合は支給要件はありませんが、夫の場合は、55歳以上または障害等級第5級の状態にある場合にのみ(55歳以上か60歳以上か、障害があるかないかで、支給を受けられる順位が異なります)、支給されます。
基本的には、遺族の関係が父母や祖父母の場合も、同じく、55歳以上であることが必要です。
また、子や孫の場合は、18歳の年度末までの間にあるかどうかによって支給されるかどうかが異なります。
葬祭料は誰でもOK
また、関連する給付で、葬祭を行った場合、葬祭料が支給されます。
葬祭料に関しては、生活基盤とは関係がないので、葬祭を執り行った者は、労働者との親族であるかどうかにかかわらず請求することができます。
最後に
ほかにも、労災保険法は、二次健康診断等給付や、特別支給金の制度が用意されています。
これらにかかわらず、5つのパターンに関しても、支給の条件や支給金額を問われることがあるので、細かな数字はしっかりと抑えておく必要があります。
過去問演習で細かい知識を入れて試験に臨めるよう、しっかりと全体像を把握して記憶しておくようにしましょう。
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