そもそも予算とは?
収支の見積もり
予算とは、一会計年度における収入と支出の見積もりのことを言います。
「遠足のおやつの予算は?」といった使い方をするので、予算というと費用の部分だけを指しているように思われがちですが、収入も含めた予定を指します。
PDCAの基本となるもの
もっとも、見積もりと言っても、ただこれくらい儲かりそう・これくらい費用がかかりそうということを考えるだけでは不十分です。
企業は基本的に営利を目的にしているので、成長して利益を上げなければなりません。
この時、その年度にやろうとしている施策の費用対効果などを考慮しながら、適切にPDCAサイクルを回していくことが重要です。
適切な予算を策定することは、その進捗を年度中に追えるようにして、事業を回していく上で非常に重要なものです。
まずはトップラインから決める
市場規模×占有率
このように、企業活動において非常に重要な「予算」ですが、まずは売上の項目から策定するのが一般的です。
この時に用いられる最も一般的な考え方は、取り組んでいる事業の市場規模に対して、自社の市場占有率を掛け合わせて売上目標を作るというものです。
例えば国内向けに「ねじ」を作っている会社の場合、国内のねじの市場規模を算定し、それに対して自社の占有率を掛け合わせるといった具合です。
この時、実績だけ考えるのではなく、対象の会計年度の市場規模を想定し、それに対して自社の占有率目標を掛け合わせるようにすることには注意が必要です。
単なる成長率目標は計画倒れの可能性あり
これに対して、単純に成長率目標だけ掲げて、無理やり売上目標を策定する経営者も多くいます。
市場成長が読めない場合や、市場成長を上回る成長を続けており、占有率目標が掲げにくい企業ではありがちです。
また、特にワンマンで勢いが強い企業ではありがたいな目標の立て方です。
ただ、このような計画は、大抵の場合計画倒れに終わることが多いです。
成長の根拠がなければ、単なる数字にしかならず、従業員のモチベーションアップにもつながりにくいので注意が必要です。
費用項目を決めていく
変動費と固定費を分ける
売上の計画ができると、次に費用の計画を立てていきます。
この時例えば、「売上の計画が25%成長になっているから、費用もそのまま25%成長で」といった計算の仕方をするのはNGです。
というのも、例えば本社ビルの家賃などは、たとえ売上が大きく成長しても、その分高くなることは考えにくく、費用がそのまま上がるとは考えられないからです。
なので、まずは変動費と固定費を分けます。
ねじの場合、材料費や機械を動かすための光熱費は変動費になると想定されます。これに対して、機械の減価償却などは固定費になる可能性が高いです。
変動費は何に変動させるかを決める
あとは、分けた変動費を、売上規模に応じて変動させて費用を作るわけですが、この時、変動費を何に基づいて変動させるかを決めることが重要です。
全く相関関係のないものに基づいて変動させても、おかしな計画ができてしまうだけなので、「もっともそれらしい」と考えられるものに基づいて変動させる必要があります。
これを算定するためには、ビジネスをしっかり理解し、どういったものに費用が掛かるかを正確に把握する力が求められます。
実は工業簿記・原価計算にすべて詰まっている
このようにして、費用計画ができれば、後は売上から費用を引いて、営業利益の目標を作れば、ほぼ完成です。
実はこの手順、簿記1級試験の工業簿記・原価計算の勉強をしていると、そのままそのスキルを活かすことができます。
過去のこちらの記事でも触れている通り、将来のために過去を把握するのが、工業簿記や原価計算の根底にある考え方です。
経営企画をしていくうえで、簿記を持っておくと有利というのは、まさしくこの場面を想定しているものになります。
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