NHKの受信料と放送法の規定について

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こんにちは。ヒトツメです。
先日Twitterで、NHK受信料と放送法の規定に関するツイートを見かけ、なんとなくリツイートしたら、今までにないくらい「いいね」を頂けたので(とはいえ、一般的には少しですが)、ツイートには書ききれないNHK受信料を巡る個人的な意見についてまとめていきたいと思います。

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日本放送協会放送受信規約と放送法64条

そもそも、NHKの受信料に関しては、日本放送協会放送受信規約という規約に定められています。
同規約5条によれば、次のように、放送受信契約者は、受信料を支払わなければなりません。

放送受信契約者は、受信機の設置の月の翌月から第9条第2項の規定により解約となった月の前月まで、1の放送受信契約につき、その種別および支払区分に従い、次の表に掲げる額の放送受信料(消費税および地方消費税を含む。)を支払わなければならない。

日本放送協会放送受信規約5条

これ自体、特におかしなところはなく、契約をした人は受信料を支払ってくださいという内容なので、一般的な規約と何ら変わるところはありません。クレジットカードを申し込んだら年会費を支払ってください、といった話とレベル的には変わるところはないと思います。
ただ、放送法64条によれば、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」と定められています。ここにいう「協会」とは、日本放送協会、つまりNHKの事で、要するにテレビを持っている人はこの放送受信契約を結ばないといけません、ということが書いてあります。

何が問題なのか

このような理屈は、一見して、何かおかしいところがあるようには思えません。確かに、放送受信契約を結べば、受信料を支払わなければならないということについては、異議を挟む余地はないように思います。

しかしながら、一般的に、契約とは意思表示の合致があって初めて成立するものです。これは民法の入門書にも記載されていることで、近代法律学が基本にしていることの一つです。
仮に放送法64条1項が、契約成立を強制したり、その根底にある意思表示を強制したりする趣旨であれば、国民の利益を著しく棄損する可能性があります。

この点に関して、平成29年12月6日の最高裁判決では、放送法64条1項は、意思表示をすべきことを命ずる判決の確定をもって当該意思表示をしたものとみなすことができる旨を規定したものであるという理解が示されました。要するに、この法律によって、受信契約成立のための意思表示は、判決をもって代替することができる、という趣旨です。
確かに、改正前民法414条2項では、「債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。」とされており、同判決でもこれが引用されており、同じような法律は過去一定数存在してきました。
しかしながら、同じ年(2017年)にこの条文は法改正によって削除されていますし、そもそも放送法64条1項についてこのように理解するのは、文理上かなり無理があるように思います。

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

また、同判決の中で、「基本的には、原告[NHKのこと]が、受信設備設置者に対し、同法[放送法のこと]に定められた原告の目的、業務内容等を説明するなどして、受信契約の締結に理解が得られるように努め、これに応じて受信契約を締結する受信設備設置者に支えられて運営されていくことが望ましい。」と述べられており、意思表示の合致による契約の成立を原則とすべきであることが示されています。

最高裁判決は政治的判断だったのか?

この最高裁判決を巡っては、NHKに係る政治的判断が含まれており、かなり恣意的な判断が含まれているとする主張があります。
確かに、結論の部分だけを読めば、NHKにとって 有利な判決となっており、そこに恣意性があるように考えることも、できなくはないように思います。

ただ、この判決での被告は、放送法64条が憲法に違反するという主張に関して、契約自由の原則に違反するといった主張しかしていません。当時民ぽ414条2項が存在している中で、放送法64条を思想の自由に対する侵害であるといった主張をすることは難しかったと思いますし、被告側の主張に不備があったとは思いませんが、あくまで裁判所は双方の主張の妥当性を判断するのが職務なので、より正当な主張をしていたNHK側の主張を認めたということに過ぎないのだと思います。

むしろ、自由な意思表示の合致による契約の成立が望ましいという、NHK側にはあまりうれしくない判断をしているので、NHK側の肩を持ったとは言い難いように思います。

さいごに

ネットの中では、NHKの受信料徴求を追い返す裏ワザといった話が良く出ています。確かにその一つ一つは有効性が高いものと思います。ただ、以上のような考えや最高裁判決を前提とすれば、個人的には、やはりNHK側が、契約締結の必要性をきちんと説明し、理解を得られるように努力をするべきであって、居留守などを使って、その努力を一方的に遮断するような対応はあまり望ましいとは思えません。
一般的には、理解を得ようとする態度で臨んでいないから遮断されるのだ、ということと理解していますが、まずは、NHK側が、遮断をされても仕方ないと思われるような態度で臨まないことが重要だと思います。
NHK側が話を聞いてもらえるように努力をすること、そして受信者側も話を聞いてもらえるような努力が見られればきちんとそれに対応すること、そういった歩み寄りの姿勢が、重要なのだと思います。

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