【趣味のお話】映画:遠い空の向こうに

映画

こんにちは。ヒトツメです。
今日は、元NASA技術者のホーマー・ヒッカムによる回想録「October Sky」を原作とした、1999年公開の「遠い空の向こうに」という映画のご紹介です。

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炭鉱町のアメリカンドリーム

この映画は、冒頭で書いた通り、実際にNASAの技術者となる、ホーマー・ヒッカムが少年のころに経験したお話をベースに作られています。主人公ホーマー少年は、炭鉱町で現場監督を務める父親と、そんな父親を絶対的に信頼する母親のもとで、アメリカンフットボールの優秀なプレーヤーである兄とともに育ちます。
ヴァージニア州の小さなその炭鉱町では、炭鉱に入ることがほぼ唯一の生活をしていく術で、何年かに一人、アメリカンフットボールで優秀な青年が、大学の奨学金を得て町の外へ出ます。そんな炭鉱町でホーマー少年は、1957年10月にソ連が打ち上げたスペースシャトル・スプートニクを夜空に見て、ロケットの打ち上げに魅了されます。

話の筋としては、そんなホーマー少年が周囲の仲間たちや、理解ある学校の先生とともにロケットの打ち上げを行い、それをベースに科学フェスに出場して、アメリカンドリームをつかんでいくというお話です。
そうやって聞くとよくありそうなお話に聞こえますが、その合間に見える家族愛葛藤がとても丁寧に描かれていて、心にじんと来る作品となっています。

厳しすぎる父親の愛

というのも、ホーマーの父親は、宇宙に思いをはせるホーマー少年に、極めて厳しく当たります。アメリカンフットボールでものすごい成績を収めるわけでもなく、一方で炭鉱で寿命を縮めながら働くことに否定的なホーマー少年は、親からすると聞き分けがない存在です。
最初はそんなホーマー少年を疎ましくて厳しく当たっているのかと思いますが、父親には「この町で生きていく術を身に着け、立派に生きてほしい」という熱くて深い想いがあり、それが物語が進むにつれて明らかになっていきます。

物語に当てはめたような紋切り型のキャラクターではなく、実在する人間として一人一人の登場人物がしっかりと描かれており、それぞれに愛情があり、温かさに満ち溢れています。
わかりやすい善と悪の対立といった形でキャラクターを作り上げるのではなく、その人たちの根っこにある感情や思考といった土台から積み上げるようにキャラクターが作り上げられています。みんなが「魅力的」というわけではありませんが、物語を通して伝わってくる温かさが、それぞれのキャラクターを魅力的に見せているように思います。

職人技のような物語

また、実際の街並みから全体的な映像の作りに至るまで、とても丁寧に描かれているのも、この映画の魅力の一つだと思います。
ハリウッド映画というと、華やかな映像美といったイメージが強いですが、そんなハリウッド映画にあって、職人技が光る映像の作り込みが非常に魅力的で、雰囲気から温かさを感じることができ、「映画」であることの良い部分が凝縮されているように感じます。

さいごに

冒頭で書いた通り、この映画の原題は「October Skys」です。
ホーマー少年たちがロケットを打ち上げたときに新聞記事に乗った少年たちの名前が「Roket Boys」で、原作のもともとの題名も、「Roket Boys」でした。実はこの二つはアナグラムになっており、映画を受けて、原作の名称も変更したそうです。
そんな題名から伝わってくる映画作りにかける監督とスタッフのこだわりが詰まった、とても心に響く名作です。

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