【趣味のお話】映画:ハドソン川の奇跡

映画

こんにちは。ヒトツメです。
今日は、2009年1月15日に実際に起きたUSエアウェイズ1549便不時着水事故について取り上げた、トム・ハンクス主演「ハドソン川の奇跡」についてのレビューです。

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実話に基づく物語

2009年のUSエアウェイズ1549便不時着水事故といえば、覚えている人も多くいらっしゃると思いますが、離陸後たった90秒で発生したバードストライクによって、二つのエンジン両方が停止してしまいながらも、機長の巧みな判断と技術によって、ハドソン川に不時着し、奇跡的に155人の乗員乗客全員が無事生還したというお話です。
機長のチェスリー・サレンバーガー氏は、当時の次期大統領オバマ氏から直接電話を受け、「英雄的で立派な仕事ぶりを誰もが誇りに思っている」とたたえられたことでも知られています。

ただ、この映画は、その奇跡的な生還についてを取り上げているわけではなく、その後の国家運輸安全委員会によるサレンバーガー機長への調査と、英雄視されることで徐々に疲れていく機長本人の内面を映し出した、非常にメッセージ性の強い映画です。
トム・ハンクスが演じる機長の英雄視されることへの戸惑いの感情や、国家運輸安全委員会による調査が自分の当時の判断とあまりに違い過ぎることからくる葛藤が、画面に見事に表れており、非常に完成度の高い作品となっています。

少し残念な描かれ方

ただ、この映画の少し残念な点は、国家運輸安全委員会の調査が、少し嫌味な雰囲気をもって描かれていることです。通常、たとえ全員が生還したとしても、航空業界では、通常とは異なる運行が起きると、綿密な調査がなされます。その調査により、類似の事故によって奪われてしまう生命を救うための様々な方策がとられます。
ましてや、USエアウェイズ1549便不時着水事故のような重大な事故が起これば、その原因は何なのか、本当にほかに最善策はなかったのか、機長の技術だけに頼るような再現性の低い方法以外の方法で事故を防ぐことはできないのか、といったことが徹底的に調査されます。ある意味、国家運輸安全委員会の徹底的な調査は、航空業界では当たり前の話で、彼らはそのような調査によって、国の運輸の安全を担っています。なので、彼らを悪者のように感じさせるような描き方は、あまり好ましくなかったと思います。

結局、この物語では、事実と同じく、委員会側の調査の前提が少し違うことが影響し、サレンバーガー機長は不問となります。しかしながら、重要なのは、委員会側の調査において何故前提を欠いたようなものになってしまったかであり、仮にサレンバーガー機長以外のパイロットが機長を務めていた場合にも同じように生還するためにはどのような方策がとられるべきか、だと思います。
その観点が十分に描かれていなかった点で、本作には少し不満が残るように感じました。

さいごに

ただ、これらの観点をきちんと理解したうえで観ると、機長側と委員会側と、両方の言い分に非常に納得感があるように思いますし、その時々の登場人物の感情の機微もうまく画面に表れており、見ごたえのある作品になっています。
物語の作りや、回想と現実を行ったり来たりする、イーストウッドらしい作品の作り方も非常に秀逸で、エンターテイメントとしては優れた作品だと思います。

是非一方的な観点ではなく、双方のやり方・言い分を考えながら、よりよい未来のために働く登場人物に感情を寄せてみていただきたい作品だと思います。

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