振り返り
前回は、臨床法務・予防法務・戦略法務という法務の三類型を用いて企業法務の概念について解説していきました。
これにより、「法務とビジネス、両方の知識を活かして、会社の企業活動をより円滑にする」という非常に幅広い企業法務の理想について概観することができました。
ガーディアンとパートナー
ミスリードな三類型に変わる新概念
もっとも、法務の三類型は、前回解説したとおり、非常にミスリードです。
時に企業法務の業務範囲を過度に制限し、本来の機能を果たせなくなります。
そこで、15年ほど前から利用されるようになった概念が「ガーディアンとパートナー」という概念です。
ガーディアンは企業価値の毀損を防止するという側面を指し、パートナーとは、企業価値の最大化を手助けするという側面を指します。
これにより、企業価値の向上に幅広く寄与するものとして企業法務を捉えることができます。
ある種の教訓
もっとも、これも企業法務の事業領域を狭めるようなものであってはなりません。
ガーディアンとパートナーは、先ほどのように、毀損の防止と最大化という側面を指しますが、この概念に業務内容を分類し、いずれかに属するという理由で所管を分けるようなことはNGです。
これをしてしまうと、例えば、いずれにも該当しにくい業務において「お見合い」が発生してしまうようなことが考えられます。
時にガーディアンとパートナーは、「守りのガーディアンから攻めのパートナーへの変革」といった標語で用いられます。
すなわちこれは、企業法務の業務領域には、企業法務の最大化という「トップライン強化」の側面が含まれるべきであるというある種の教訓だと捉えるべきです。
具体と抽象の軸
また、ガーディアンとパートナーの概念は、業務内容をある程度類型化することで対応方法の道筋を立てやすくするという効果があります。
ガーディアンの要素が強い業務では、何をするべきか、パートナーの要素が強い業務では、どのような手順で進めるべきか、といったことを考えやすくすることで、早期解決を図ることができます。
これに加えて、具体と抽象の軸を加え、業務を四象限に分類するのが、一般的且つ効率的です。
次回は、業務を四象限に分類することで、どのように効率的に業務を進められるようになるかを解説していきます。
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