毎年策定するのが正解
そもそも中期経営計画とは?
中期経営計画とは、中期的な会社の行く末についての計画を指します。
概ね10年以内、一般的には3年から5年くらい先の企業のあるべき姿を描いで、現状とのギャップをその期間内にどのように埋めていくかということについて記載をします。
そのように聞くと、計画が完了する都度、次の計画を策定すればいいように思いますが、中期経営計画は毎年策定するのが正解です。
そもそも3年から5年のスパンで策定していると、前回の策定者が担当から外れているケースもあり、非効率だというのが、その理由の一つです。
近視眼的な現場目線の打破!
ただ、中期経営計画を毎年策定するべき最大の理由はほかにあります。
ズバリそれは、中期経営計画が、近視眼的な現場目線を打破することに主眼があるからです。
毎年その年の目標を達成することに躍起になっている現場では、中長期の目標を掲げて業務を遂行することは非常に難しいです。
現場の担当者一人一人が、中長期的な会社の行く末を意識することで、会社全体の成長速度を上げることに目標があるため、毎年「3年後はこの位置に行こう!」という意識を醸成した方が、中期経営計画策定の効果が出やすいということです。
したがって、1年前に策定した中期経営計画と、その年の実績との比較を行い、PDCAサイクルを回していくことは必要ですが、3年ごとに計画が達成したかどうかを確認し、一喜一憂することは、あまり意識するべきではありません。
経営からのメッセージ
このように、現場の意識を高めて、会社の成長を高めていくには、経営からのメッセージを的確に込めていくことが必要になります。
現場の担当者がまるで経営者のように、会社の行く末を見据え、みんなが同じ方向に進んでいくというのが適切な状態なので、毎年その部分を意識して策定すると、効果が出やすいです。
中期経営計画はどう作る?
ボトムアップ形式は原則NG
では、具体的にどうやって中期経営計画を作るか。
先の通り、中期経営計画には、経営からのメッセージが込められるべきなので、「中期経営計画を作ります!」という発信だけして、中身は結局現場が作る、といった対応を取るのは最悪です。
それだと現場の仕事が増えるだけで、経営者は満足するかもしれませんが、現場は疲弊してしまうだけです。
3~5年を目安に策定
まずは中期経営計画を策定するにあたっては、経営とその周辺(主に経営企画)の人たちがしっかり話し合いを行い、会社を3年から5年かけてどのようなポジショニングにもっていくかということを決定します。
その上で、経営企画が現場と会話しながら、それを実現するための現実的なロードマップを引いていくというのが、一般的な策定の仕方です。
トップダウンではあるものの、現場を無視したトップダウンにならないように、対話を交えて策定するのがベストです。
前回、経営企画は、経営とそれ以外の間に入ることが仕事だということを書きましたが、このような、中期経営計画策定は、まさにその真価が問われる瞬間といえます。
数字では語り切れないもの
単なる計数目標にはしないこと
この時、3年から5年後の会社の在り方を考える上では、業界がその時どうなっているか、その中で自分たちの会社がどうなっているべきか、という発想で考えると、スムーズです。
というのも、トップラインやボトムラインだけの計数だけを何の根拠もなしに決めてしまうと、「5年後に売上を10億円にしよう!」といったなんとなくキリのいい数字に落ち着いてしまうだけになってしまいます。
それだと根拠もなく、現場の理解はなかなか得られません。
業界での定量的・定性的なポジショニングを意識して、時に計数を交えながら、未来予想をしていくというやり方で策定していきます。
実績管理も重要な仕事
最後に、中期経営計画において重要なのは、「策定してそれで終わり」となってしまわないことです。
定性的な部分も含めて、毎年検証を行います。
検証を行うという観点においても、やはり毎年策定しなおし、ポジショニングの改定など、細かく行っていく方が、効率的です。
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