【簿記1級合格への道】リース取引は「どう得か」を基準に考える

簿記試験

こんにちは。ヒトツメです。
同じ過去問を何回解いても、リース取引についてなかなか理解できずに苦労しているので、今日は、リース取引の考え方についてまとめていこうと思います。

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リース取引の分類と判定フロー

リース取引に関しては、大抵教科書では、その分類を判定するところから始まり、次の三つの分類に区分していきます。

  • オペレーティング・リース
  • 所有権移転ファイナンス・リース
  • 所有権移転外ファイナンス・リース

このような分類に従い、リース資産を計上するかしないか、あるいはどのように計上するかということを分類していきます。具体的には、リース料総額の全体価値が見積現金購入価額の90%以下で、且つ、解約不能のリース期間が経済的耐用年数の75%以下であれば、オペレーティング・リース、そうでなければファイナンス・リースとなり、さらに所有権移転条項・割安購入選択権・特別仕様のいずれかの場合には所有権移転ファイナンス・リース、そうでなければ所有権移転外ファイナンスリースとなる、とされています。
図にすると次のようになります。

分類に応じた考え方

ただ、ここからどのような場合にどのような基準に基づいてリース資産を計上するか、と覚えていくと、試験本番の時に忘れてしまう可能性があります。
そこで、このようなリース取引はそれぞれ、「どのように得か」ということを基準にして考えていくと、なぜそのような理解になるのか自然と覚えられます。

オペレーティング・リース

まずオペレーティング・リースですが、これはシンプルに、「借りる」ということに価値を見出すことができるパターンです。対象物を購入してしまうと、その分の元を取ることができない可能性がある場合に、リース会社から対象物を借りてきて、その分お金を払うというパターンです。
この場合は、対象物を借りることに価値を見出すことができます。ただ、「実質的に購入している」と考えられるようなケースにおいて、実態に合わない経理処理を行うと問題が出てきてしまいます。そこで、現在価値基準や経済的耐用年数基準といった基準を用いて、「実質的な購入」には当たらない場合にのみ、オペレーティング・リースによる経理処理が認められています。

この場合、リース資産は計上せず、単にリース料を支払うだけです。支払った金銭は利息などには当たらず、単に「借りることの対価」として全額処理されることとなります。

ファイナンス・リース

これに対して、「実施鉄的には購入とみなせる」という場合には、ファイナンス・リースとして処理をしなければなりません。この時、リース取引は、実態的には、「リース対象物を購入するための資金を借りてきて、利息と返済を毎年支払うこととし、その資金でリース対象物を購入した」という取引と同じです。なので、まず、リース対象物を購入するための資金と同じ金額を、リース債務として計上し、入手したリース対象物に関して、リース資産として計上します。

この時、所有権移転かそうでないかによって、リース債務の計上が少し異なります。
基本的には、上記の考え方に基づいた元本部分の総額、つまり「リース料総額の割引現在価値」と同じ金額で、リース債務は計上するべきです。
しかしながら、所有権移転ファイナンス・リースにおいては、最終的にその対象物を入手できることに価値があると考えるべきです。したがって、貸手の購入価額がわかっている場合では、リース料総額の割引現在価値ではなく、リース債務は貸手の購入価額と同じ金額で計上するべき、ということになります。
また、所有権移転外ファイナンス・リースの場合や、貸手の購入価額がわからない場合でも、リース料総額の割引現在価値よりも、見積現金購入価額が低い場合には、その金額以上のリース資産を計上することはできず、結果、リース債務は見積現金購入価額と同じになります。

所有権移転購入価額がわかっているリース資産=購入価額
購入価額がわからないリース料総額
見積現金購入価額
いずれか低い方
所有権移転外リース料総額
見積現金購入価額
いずれか低い方

ファイナンス・リースのリース料支払時の処理

このような理解を前提にして、リース料支払時の処理を見ていくと、意外とそこまで難しくはないことがわかります。
というのも、結局は元本と利息の返済と同じとみなせるわけですから、支払いしているもののうち、どの部分が元本でどの部分が利息かということが分かれば、それぞれ計上するだけで済みます。

例えばリース債務が27,232円、リース料年額が10,000円、リース期間が3年、計算利子率が5%だとすると、最初のリース料支払日に支払うべき利息は、27,232円借りていることによって発生する利息なので、27,232×5%で、1,362円となり、残りの8,638円が、元本返済部分となるわけです。
これにより、リース債務は18,594円に減少し、また次のリース料支払日に、残ったリース債務に5%を掛け合わせた利息を支払うということになります。

少しややこしいのが減価償却ですが、所有権移転かそうでないかによって、経済耐用年数かリース期間か、いずれかを使って減価償却をしていくかという違いでしかありません。所有権移転ファイナンス・リースの場合、リース期間終了後も、リース対象物を利用することができるので、その部分も含めて減価償却を実施しなければならない、という程度の話でしかなく、基本的なことが抑えられていれば、困ることはないように思います。

さいごに

リース取引というと、そもそも何をやっているのかが分かりにくいということと、計算が少しややこしいということで、理解しにくい論点の一つとして取り上げられますが、なぜそのような考え方をするのか、ということを理解すればあとは単純な計算問題でしかないというケースが大半です。
基本をしっかり抑えて、試験本番でも再現できるようにしていくと良いように思います。

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