こんにちは。ヒトツメです。
今日は、僕がここ数年定期的に読み返している、アンドリュー・S・グローブ氏の著書『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』を参考にしつつ、チームで仕事をするうえで大事なことは何か、ということを考えていきたいと思います。
示唆に富んだ名著
この本は、インテル社の社長として知られるアンドリュー・S・グローブ氏の名著で、シリコンバレーの名だたる経営者が「最高の名著」という伝説的な著作です。いわゆるシリコンバレーの経営者(例えばマーク・ザッカーバーグなど)とは異なり、グローブ氏は、インテルの創業者ではありません。
創業者が、独創的な発想を基に起業し、そのまま運よく良好な経営を続けることが出来たというわけではなく、グローブ氏はインテルに入った後、マネージャーとなり、その後社長まで上り詰めました。グローブ氏はインテルの主力製品である半導体製品の知識をあまり持ち合わせておらず、順守なマネージャーとしてインテル社の中で這い上がっていったという経緯を持っています。
また、この本は、何か特定のメソッドに関して効果の高い手法を記載しているわけではなく、マネージャーにとって必要な考え方を網羅的に書いてあるというところに非常に強い特徴があります。細かなインプリケーションを読み取りながら読み込んでいかないと自分の力にならない一方で、しっかりと読み込めば、しっかりと自分の状況に合わせた示唆を受けることが出来る名著だと思います。
アウトプットの最大化
ただ、その中でも誰にとっても分かりやすく、極めて衝撃的な表現が、「マネージャーの評価は、自分の部門のアウトプットによってのみ測られるべきである」という趣旨のものです。時にプレイングマネージャーと呼ばれるような人たちは、プレイヤーとしての出力が高ければ、評価が高くなりがちです。しかしながら、プレイングマネージャーといえど、その人の仕事は自分が所属する部門を管理・監督することです。
そうであるならば、たとえプレイヤーとしての成果が低くても、自分の部門のアウトプットが高ければ、マネージャーは高く評価されるべきであり、また逆もしかりです。
もちろん、このような考え方は、「その人の部門」というのがどの範囲を示しているかによって意味合いは変わります。時に会社全体であり、時に自分と直属の後輩だけなのかもしれません。しかしながら、マネージャーとしての仕事をしている人の評価は、その人単独のアウトプットだけでなく、「その人のチーム」と呼べる人たちのアウトプットを加味して評価しなければならないというのは、大きく物の見方を変える考え方だと思います。
効果的なワン・オン・ワン
このような考えを敷衍すると、「チームで仕事をするうえで大事なこと」は、そのチームのアウトプットを最大化させるための行動をいかにとれるかということにあるということが出来ると思います。
その方法の一つとして、個人的に重要だと考えるのが、部下との「ワン・オン・ワン・ミーティング」です。
ワン・オン・ワン・ミーティングについても、この本では様々なことが記述されていますが、特に重要な要素を書き出すと、次のようになります。
- ワン・オン・ワンは、管理業務を効率化するための、情報交換を目的にしたバッチ処理の手法の一つである
- ワン・オン・ワンは、「部下の」ミーティングである
- ワン・オン・ワンでは、トラブルを示すインディケーターについて話し合わなければならない
一つ目は、ミーティングは非効率で避けるべきものであるという主張に対するアンチテーゼです。確かにミーティングは時に極めて非効率で、多くの人の時間を奪いますが、上司が部下の状況を把握するためには、細切れに分断して話をするより、類似の問題をまとめて処理できるような時間を設けた方が効率的だということです。
二つ目は、やや逆説的ですが、ワン・オン・ワン・ミーティングを、チームの出力の最大化のために使ってはいけないということです。あくまで部下は自分の出力の最大化にのみコミットするべきで、自分や、ほかの第三者の出力を最大化するための討論の時間としてはいけません。アウトラインも部下が決めるべきですし、部下の出力の最大化に資する議論をしなければなりません。
最後は、ワン・オン・ワン・ミーティングで話すべき議題についてですが、部下が抱える課題が今どのような状態にあり、それが中長期的に見て解決の方向に向かっているといいうるのかを示すインディケーターを探し、それを議題にするべきだということです。なので、初回のミーティングでは、部下に徹底的に質問をし、部下がどのような問題を抱えているかを把握しなければなりません。
さいごに
僕自身、部下がいるわけではなく、別のラインにいる後輩や、一緒に働く派遣社員との間でしかワン・オン・ワン・ミーティングはしません。ただそこで他でのワン・オン・ワン・ミーティングの実施状況を聞くと、そこでは、「上司から提供された仕事に関する議題」について話していることが大半となっているようです。
それは、上司のためのミーティングであり、結局は自己満足にしかなりません。
大事なのは、部下にきちんと目をやり、抱える問題の本質を捉えるために、「何故?」を5回繰り返すことです。そこで出てくる問題が解決に進んでいるかを示すインディケーターや課題を作り、議論をそこに持っていくことが重要だと思います。
技術的な手法は様々ですが、本当に重要な点を把握して進めていかないと、チームの出力の最大化は難しいように思います。
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