基本手当の延長給付
何故延長が必要なのか?
前回、雇用保険法の求職者給付のうち、基本手当について解説しました。
雇用保険は、失業した人の生活を保障しつつ、一方で再就職を促す必要があるので、いつまでも保障し続けるわけにはいかないです。
したがって、基本手当は保険期間に応じて、受給できる期間が個別に定められています。
一方で、予め定めた基本手当の給付期間が適切ではない場合というのは、往々にしてよくある話です。
すべての場合を考慮して、事前に再就職を促しつつ生活を保障する適切な給付期間を定めることは難しいということです。
そこで、雇用保険法では、延長給付の制度が定められており、個別具体的な状況に応じて、基本手当の給付期間を延長できるようにしています。
頑張り続けている人に報いる
その代表的な例が、訓練延長給付です。
再就職のために職業訓練を受けている途中で、基本手当の受給期間が終了するような場合、引き続き訓練を受けて、確実に再就職の機会を得られるように、定められた制度(訓練延長給付)です。
基本手当の受給終了の時期が、訓練の待機中であれば最大90日間、訓練中であれば訓練が終了するまで、訓練後30日以内であれば30日を経過するまで、それぞれ延長ができるようになっています。
また、就職困難者以外の場合で、就職できていない場合などでは、個別延長給付として、具体的な状況を勘案して延長できるようになっています。
地域や時流の事情も考慮
さらに、例えば東京都心と地方では、就職の難易度が違うことなどを考慮し、特定の地域で全国平均の2倍を超える失業率となっている場合には、広域延長給付として延長することも可能です。
時流の流れによっては、日本全体で失業率が高くなっていることも考えられるため、失業率が4%を超えれば(連続4か月)、全国延長給付として、同じく延長できるような制度もあります。
基本手当以外の求職者給付
技能習得手当と寄宿手当
また、先述の通り、求職者給付、いわゆる失業手当は、生活を保障しつつ、再就職を促す目的の制度です。
したがって、生活保障+再就職支援という形で、基本手当に加えて、その上に再就職支援のための個別の手当ても用意されています。
それが、技能習得手当と寄宿手当です。
要するに技能訓練を受けるための受講の費用と、そのための交通費を補償するというものが、技能習得手当で、さらに技能習得をするために寄宿する場合に宿泊費を補償するものが、寄宿手当です。
基本的には、基本手当の上に乗っかってプラスアルファで支給されるものなので、基本手当が支給されないケースでは、一部の例外を除いて技能習得手当も寄宿手当も支給されないのが特徴です。
傷病手当
最後に、求職しつつも、病気や怪我で就職できない場合に備えた補償が、傷病手当です。
傷病手当は、病気や怪我で15日以上継続して求職ができず、それに伴い基本手当が受給できない場合に、基本手当に替えて、受給できるというものです。
技能習得手当や寄宿手当とはその趣旨が大きく異なるので注意が必要です。
傷病手当は、病気や怪我の場合、基本手当に替えて支給されるものなので、基本手当と日額などは変わりません。
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