こんにちは。ヒトツメです。
今日は、少し前に発売され非常に話題になった「1兆ドルコーチ」という本から、コーチングとは何かについて考えていきたいと思います。
シリコンバレー成功の立役者
具体的に本題に入る前に、今日取り上げる「1兆ドルコーチ」という本についてですが、これは、シリコンバレーの多くの企業の創業者を育てたといわれる、ビル・キャンベルに関する伝記のような書籍です。ビル・キャンベルは、もともとはアメリカンフットゴールのコーチでありながら、スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスを育てたといわれる伝説的なコーチです。
非常に口が悪いながらも、組織を育てるための術を熟知しており、シリコンバレーで活躍する多くの起業家を、経営者として育てたといわれています。
この本が日本で出版されたのは2019年で、僕自身、出版されて間もないころに購入し読みました。当時も非常に面白いと思った一方で、30代になり、改めて読むと非常に示唆に富んでおり、学ぶべきことが多いと感じる本です。
理想的な組織
とりわけ、この本の中で示唆に富んでいると感じるのは、ビルが構築してきた組織に対する考え方です。この本を通じて、ビルが「どのような組織が理想的といえるか」という問題に対してどのように取り組み、考えてきたかがよくわかりますが、端的に言えば、ビルが目指していたのは、階層構造のない円卓のような組織です。
一人がリーダーとなり、何もかもを決定するという組織では、結局政治力がものを言い、一人一人の個性や能力は発揮されずに終わります。そうではなく、問題ごとに最も適切なリーダーが自然に入れ替わり、組織における一人一人の個性や能力が発揮される状態が、理想の状態だと考えられます。
ビルはこれを「アンサンブル」と表現していたそうです。
そのうえで、組織の一人一人が並列に存在し、それぞれが個性と能力を発揮させることができるように、コーチが玉座に座り、組織をより良い方向へ導くことを望んでいたそうです。
こうして聞くと、最近はやりのコーチング論と非常に似通っていますが、ビル・キャンベルの実践してきたことはそれの原型ともいえるやり方で、それをいち早くシリコンバレーに取り入れたことに価値があるのかもしれません。
また、それを多くの企業で実現してきた人の性格や言動を通じて、コーチ型マネジメントなどと言われる現代において求められるマネジメント論を実践するためのノウハウが得られるものと考えられます。
具体的な実践法は?
この本の中に書かれている具体的な実践法として、例えば、一人一人の心理的安全性を確保することがあげられています。
政治力がものをいう組織では、結局、正しくても政治力のない人の意見は、受け入れられません。きちんと意見を言うことができる環境を整えることは、マネージャーとして必要不可欠です。
ほかにも、問題の本質を見極め、その解決にあたるための「当事者」となりうる人を見極めて問題解決のためのチームに引き入れることや、一人一人が仕事に対して愛着を持つように仕向けていくことなどが重要だと記載されています。
また、雑談の重要性などについても触れられています。
さいごに
昔からそうですが、「上司」として求められる能力を取り上げた書籍や文章は、非常に数が多く、「これが正解」と呼べるようなものはなかなかないように思います。古くは京セラのアメーバ経営などがそうですが、京セラ以外の企業で、アメーバ経営を実践し、大きな成功を収めた企業はおそらく存在しないものと思います。
結局は企業の中で浸透していく中で、その企業の文化などに染まりながら、なんとなくそれらしく受け入れられているよりほかありません。
コーチ型マネジメントも、やる気に満ち溢れ、仕事に対する熱意を持とうとしている人たちにとってはありがたいことではありますが、「なんとなく仕事をして、それなりのお金をもらいながら生活できればいい」と考えているような人たちにとっては、あまりありがたい話ではないです。
重要なのは、成功した組織の性質や要素を見極め、自分たちの組織に足りないものやそろっているものを見極め、常に考えながら変化し続けることではないかと思います。
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