概要とあらすじ
作品概要
2017年公開、シアーシャ・ローナン主演の「レディ・バード」は、その年のアカデミー賞作品賞にノミネートされ、受賞こそ逃したものの、その他の映画祭で多くの受賞・ノミネートがされている作品です。
さらに特筆すべきは、映画批評サイトで極めて高い評価を受けていることで、支持率は99%、評価点も加重平均で9割前後の高い得点を得ています。
シアーシャ・ローナンと言えば、2009年の映画「ラブリーボーン」の主演女優として知られるアイルランド出身の女優で、2007年の「つぐない」にも出演し、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたこともある女優です。
あらすじ
そんなシアーシャ・ローナンが演じるクリスティン・”レディ・バード”・マクファーソンは、サクラメントのカトリック系学校に通っており、家は貧しく、青年期に特有の鬱積した感情とともに毎日を過ごしています。
この手の映画で抱きがちな、田舎の女の子特有の「都会での学生生活」に憧れるという感情を強く持つレディ・バードは、ニューヨークの大学に進学したいという想いから、母親とうまくいかない日々を送ります。
他にも学校や社会に対して、未熟ながらも様々な感情を抱きながら、恋をし、友情を育み、成長していきます。
学校主催のミュージカルに出ることになり、共演することになったダニーのことを好きになっても、オーディションの結果ヒロインの座は親友にとられて。ダニーと仲良くなったところで、彼がゲイだと分かってショックを受けて…。
散々な生活を送る中でのレディ・バードの苦しみと力強い成長が、ユーモアたっぷりのセリフとともに描かれています。
高評価の理由は?
絶妙なセリフ回し
そんな「レディ・バード」が、批評家から極めて高い評価を受けている理由の一つは、セリフ回しにあります。
例えばミュージカルの舞台で仲良くなったダニーが家に来た時、ダニーはレディ・バードの両親に向かって、「マクファーソンさん」と声をかけて手を伸ばします。
母親は、親しげに「マリオンと呼んで」と返しますが、うつ病を患って仕事が不安定な父親は「ラリー・マクファーソンさんと呼んでくれ」と返します。
娘に対する愛情からか、うつ病を患っている負い目なのか、頑固だからなのか、真相は分かりませんが、ダニーと親しくしたいという感情と親しくしたくないという感情の、アンビバレントな微妙な感情を見事に映し出した、絶妙なセリフだと思います。
こういったユーモアたっぷりなセリフ回しが、作品全体に花を添えているように思います。
レディ・バードの芯の通ったキャラクター
また、もう一つ極めて高い評価を受ける理由の一つが、主人公レディ・バードの芯の通ったキャラクターにあると思います。
なぜ、親からもらったクリスティンという名前ではなく、レディ・バードという名前で呼ばせようとするのか。
なぜ、いつも周囲の大人たちに対してうがった視線を投げかけ、素直ではないのか。
なぜ、恋に恋する感情を抱き、都会的な生活にあこがれを抱いているのか。
考えれば考えるほどよくわからなくなる青年期特有の悩みや感情が、矛盾なく同居しており、キャラクターとしての一貫性を持っているというところです。
一貫性を持った主人公を軸に、物語全体が作られており、作品自体にも無理がなく、常にレディ・バードと同じ視線で映画の中に入り込むことができるところも、この作品の評価のポイントの一つだと感じます。
さいごに
やはり、こういった作品は、製作国アメリカの文化的な背景を前提に描かれており、そういった解説なしにはなかなか楽しむことが難しいです。
加えて、エンターテイメント性もそこまで高くなく、日本ではあまり知られていません。
だからこそ、異文化を知り、高い芸術的表現を触れることができるように思います。
90分ほどと短めで、気軽に見ることができるので、是非ご覧いただきたいと思います。
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