濡れ衣とは何か?
事実に対する評価の違い
濡れ衣とは、「事実に対する評価が、正当になされていない状態」を指します。
部下に注意を促したところ、「パワハラ」と認定されてしまったといったケースがあげられますが、それが「指導」として行われたものなのか、「パワハラ」なのかというのは、評価の問題です。
事実として、部下に何を伝え、どのような口調だったのか。その「事実」が、本来は「指導」として評価されるべきものが「パワハラ」として評価されている状態、ということです。
敷衍して尾びれが付くケース
さらに、評価が異なると、事実と異なることも認定されてしまうことがあります。
「あの人はパワハラをした」という評価がつくことで、回り回って、存在しない事実も、「きっと起こったんだろう」と周囲の人が認識してしまうこともあります。
これもある意味濡れ衣ということがいえます。
いずれにせよ、最初の事実に対する評価が誤っている(厳密に言うと本人の認識と異なる)状態に端を発した様々な事象が「濡れ衣」と言うことができます。
濡れ衣を着せられる理由は?
根底的な評価の問題
このような濡れ衣を着せられるということが起こる原因は様々ですが、一番わかりやすく、一番起こりやすいのが、根底的な評価の問題です。
事実として、過去「パワハラ」と認定しうる行動をとったことがある人は、部下に「指導」をしても「パワハラ」だと評価されることが多くなります。
また、普段から怒号をあげているような人は、たとえ怒っていなくても、メールで書いた「この件はどうなっていますか?」という発言を怒っての発言だと勘違いされていまいます。
権限が集約されているから
このように、濡れ衣を着せられやすい理由が、本人にあるケースもありますが、そうではないケースも多数あります。
その一つが、権限が集約されているからというケースです。
特に内部管理の仕事をしていると、案件を止めるケースというのが出てきますが、「止める」ことができるというのは、役職やレイヤーに関わらず、一定の「権限」を持っていることになります。
そしてその「権限」は、案件を進めようとする人たちにとっては「厄介なもの」です。
仕事でやっていても、「あの人が案件を止めた」「あの人が何かほかの理由で阻害した」と評価されてしまうことはほぼ不可避です。
特に仕事ができる人ほど、上司の判断と一致するケースが多く、相手方からすると、「よってたかって攻撃してきた」と思われてしまいがちです。
負い目があるから
最後に、よくあるケースとしては、相手に負い目があるからです。
先ほどの、メールで「この件はどうなっていますか?」と聞くケースですが、相手に負い目があれば、例えば対応漏れがあるケースなどでは、「あの人に怒られた」と勘違いしてしまいがちです。
これは着せられる側ではどうしようもないことですが、相手に何らかのミスがあるケースでは、たとえどれだけ慎重に行動しても、「攻撃している」と勘違いされてしまうことは多いです。
対処法は?
反論の場を得る
このように、濡れ衣を着せられた場合、何より大事なのが、「反論の場を得る」といことです。
一定の事実が何らかの形で評価されてしまうと、その評価ごと周囲に広まっていきます。
広まれば広まるほど、評価は変えがたく、早い段階で手を打つことが重要です。
事実確認をする
そして、反論の場では、まず事実と評価をきちんと切り分けることが重要です。
「パワハラをされた」という評価の部分ではなく、具体的に何が起きて、どのような事実があったのかの確認をします。
その中で、抜け落ちている事実や、前後の重要な事実が隠されていることを発見すれば、きちんとただすことが重要です。
曖昧な発言に流されない
その上で、事を荒立てたくない人たちは、「それでも君にも責任があるはずだ」などと、曖昧な発言をしてその場を納めようとします。
「責任」という言葉は、便利なようであまり意味のない言葉です。
どのような事実が起き、実際にそれらの事実についての事実認定が行われた上で、適切な評価がなされているかにフォーカスを当てるべきで、具体的にどのような事実を持って「責任がある」としているかを明確にすることが重要です。
さいごに
濡れ衣を着せられるというのは、仕事をしていてほぼ避けることはできません。
多かれ少なかれ、ほぼすべての人が濡れ衣を一度は着せられます。
重要なのは、それによる評価をそのままにせず。きちんと対処することです。濡れ衣を着せられる原理を理解し、適切に行動して、正しい評価につなげられるようにしましょう。
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